2010年12月10日金曜日

Japanese Ukiyo-e World_ukiyo-e

2008年に開催された「ボストン美術館 Japanese Ukiyo-e名品展」第二弾。
今回は鳥居清長、喜多川歌麿、東洲斎写楽を中心に、天明・寛政年間(1781-1801)の作品140点を展示。
第一章は鳥居清長(1752-1815)。
鳥居清満(1735-85)の門人で美人画を得意とした人。
《雛形若菜の初模様》シリーズや品川の遊女を描いた《美南見十二候》シリーズ、《風俗東之錦》といった揃い物がずらり。個人的には《子宝五節遊》シリーズで描かれる子供たちの生き生きとした動きが気に入った。

《子宝五節遊 重陽》
第二章は喜多川歌麿(?-1806)。
こちらは初期の美人画から役者絵、大首絵など雲母刷という技法を用いた作品の数々。美人画以外では《福禄寿、弁天、布袋年賀の宴》が面白かった。

第三章は東洲斎写楽(生没年不詳)。
写楽の作品変遷が分かる21点を展示。写楽が忽然と姿を消すまでの10ヶ月足らずで発表したのが140数点ということだから、実に7分の1が一度に見られるというまたとない機会。

《市川男女蔵の奴一平》
そして第四章は「黄金期の三大絵師をとりまく大家たち」と題して、勝川春章、北尾重政、鳥文斎栄之、歌川豊春などの作品を紹介。
さすがに140点もあると後半は疲れてきたが(笑)、Japanese Ukiyo-eというのはまさに当時の風俗、習慣を伝えてくれる超一級の資料だということが分かる。ボストン美術館には5万点ものコレクションがあるということだから、第三弾、第四弾と続くことを期待したい。

フランス国立ギメ東洋美術館が所蔵しているJapanese Ukiyo-eの数々を明日から大阪市立美術館で展示するわけですが、そのレセプション(関係者などに先にお披露目すること)に招待されたので行ってきました。
上の写真にもある「虎図」は太田記念美術館蔵、「龍図」はフランスのギメ東洋美術館所蔵で、表装が同じだったのでもしかするとこれは対として描かれたモノではないか?ということで調べてみたところ、葛飾北斎作であると判明したそうで。気づかなかった理由は「九十老人」という落款であったため。葛飾北斎は90歳で亡くなったので、この絵が描かれたのは晩年どころか、最晩年です。90歳になってもここまでのモノが描けるのかと驚き。亡くなるまでに約3万点を描いたとのことなので、相当筆が早かったようです。